ICT化とは?IT化との違いと、身近な仕事から始める手順

この記事でわかること

  • ICT化の意味と、IT化・DXとの違い
  • 仕事のどんな手間を減らせるのか
  • 導入前の注意点と、小さく試すための手順

「ICT化を進めたいけど、何から手をつければいいんだろう…」

調べるほど似た言葉が出てきて、迷ってしまいますよね。 紙のやり取りや確認の電話を減らしたいだけなのに、話が大きく感じられることもあると思います。

まずは「毎日の仕事で、どこに時間がかかっているか」を確認してみましょう。 たとえば、在庫を確認するたびに電話をかけているなら、そのやり取りが出発点になります。 会社全体を一気に変えようとしなくても大丈夫です。

まずは言葉の意味を押さえて、自分の職場で試せそうなことを探していきましょう。

ICT化は、情報のやり取りを楽にするところから

ICT化とは、ICT(情報を扱い、やり取りするための技術)を仕事などに取り入れることです。 正式には「Information and Communication Technology」の略になります。 日本語では「情報通信技術」ですね。

たとえば、紙で回していた連絡事項を、業務用チャット(短いメッセージをやり取りする道具)で共有すること。 離れた場所にいる同僚とオンライン会議をするのも、ICTを使った仕事の進め方です。 職場ですでに使っているものもあるかもしれませんね。

IT化との違いは、どこに注目するか

IT(コンピューターなどで情報を処理・保存する技術)とICTは、意味が重なる言葉です。 ITは「Information Technology」の略で、日本語では「情報技術」と呼びます。 ICTでは、とくに通信を通じた情報共有に注目すると、違いをつかみやすくなります。

紙の売上台帳を表計算ソフトに置き換える場面で考えてみましょう。 計算や保存を楽にする点に注目すれば、IT化の例になります。 その売上データを複数の店舗で共有するなら、ICT化としても説明できますね。

言葉 注目するところ 仕事での例
IT化 情報の処理や保存 紙の売上台帳を表計算ソフトに変える
ICT化 通信を使った情報共有や連携 売上データを複数の店舗で共有する

この表は、違いをつかむための整理です。 店舗間で情報を共有する仕組みも、広い意味ではIT化に含まれます。 NTT東日本も、ICTはITとほぼ同じ意味で、情報共有をより強調する言葉と説明しています。 詳しくは、NTT東日本のICT活用の解説を参考にしてください。

DXは、事業や組織の変化まで含めた話

DX(デジタル技術やデータを使い、事業や組織を変える取り組み)は、目的に注目すると整理しやすいです。 ICT化が、そのための土台になることもあります。

たとえば、紙の注文書をオンラインの注文フォームに変えるのは、ICT化の一例ですね。 そこに集まったデータから顧客の困りごとを見つけ、新しいサービスを作る。 そんなふうに事業のあり方まで変えていくと、DXにつながる取り組みになります。

IPAも、業務の効率化を目指すデジタル化と、事業などの変革を目指すDXを区別しています。 背景を知りたい方は、IPAのデジタル化とDXの解説も読んでみてください。

確認に時間がかかるのは、情報の置き場所がばらばらだから

必要な情報をみんなが確認できる場所に置くと、問い合わせの往復を減らしやすくなります。 「最新版を送ってください」と頼んで、返事を待つ場面を思い浮かべるとわかりやすいですよね。

資料が担当者のパソコンにしかなければ、その人が不在の間は確認できません。 共有先があっても、古い資料が混ざっていると、結局どれを使うか聞くことになります。

共有フォルダーは、職場のみんなで使う書類棚に似ています。 置き場所と片づけ方が決まっていれば探しやすいですが、入れるだけでは散らかってしまいますよね。 ICT化でも、保存先に加えて「誰が、いつ更新するか」を決めておくと使いやすくなります。

転記や引き継ぎの手間も減らせる

一度入力した情報を次の担当者も使えれば、同じ内容を何度も打ち直す手間が減ります。 たとえば、受注担当が入力した注文情報を、出荷担当も確認できる仕組みです。 問い合わせの対応履歴を残しておけば、担当者が不在でも経緯をたどれますよ。

ただ、別の道具に毎回コピーして貼り付ける運用なら、その作業は残ります。 選ぶときには、今使っている仕組みとデータを受け渡せるかも確認しましょう。 入力ミスを減らすには、記入漏れを知らせる機能や、選択式の入力欄も役立ちます。

自分の職場なら、どこに使えそう?

取りかかりやすいのは、同じやり取りを繰り返している仕事です。 まずは、次の表に近い困りごとがあるか見てみてください。

今の困りごと 取り入れる仕組みの例 一緒に決めたいこと
連絡がメールに埋もれる 業務用チャット 話題ごとの投稿先と急ぎの連絡方法
資料の最新版がわからない クラウドストレージ(ネット経由でファイルを保存・共有するサービス) 保存先と閲覧・編集できる人
申請書が誰の手元にあるかわからない ワークフローシステム(申請から承認までを管理する仕組み) 承認する順番と不在時の担当者
会議のたびに移動している オンライン会議 接続方法と資料の共有先

新しいサービスを探す前に、今の契約で使える機能を確認してみてください。 すでに使っているものに必要な機能があれば、操作を覚える負担も抑えやすいからです。

使えそうな仕組みが見つかったら、実際に作業する人にも触ってもらいましょう。 「外出先では入力しづらい」など、機能の一覧だけではわからない点も見えてきますよ。

導入前に、費用と情報の扱いを確認しておこう

料金とあわせて、準備にかかる時間も見る

費用を考えるときは、月額料金に加えて、準備や日々の管理にかかる時間も確認が必要です。 初期設定やデータの移し替え、使う人への説明にも手間がかかります。

契約内容を比べる際は、利用人数に応じた料金と、必要な機能が含まれているかを確認しましょう。 問い合わせ先や、解約時にデータを取り出せるかも判断材料になりますね。

導入直後は、操作に慣れるまで作業が増える場合もあります。 試す時間を確保して、困ったときに聞ける担当者を決めておくと安心です。

誰が見られるか、困ったときにどうするかを決める

情報を共有するときは、仕事で必要な人に共有先を絞るのが基本です。 とくに顧客情報の入ったファイルは、誰が閲覧・編集できるかを確認しましょう。

多要素認証(パスワードと別の種類の確認手段を組み合わせる仕組み)も確認しておきたい機能です。 バックアップ(データを復元するための控え)や、退職した人の利用停止も考えておきます。 具体的な対策の整理には、IPAの情報セキュリティ対策ガイドラインを参考にできますよ。

通信やサービスが止まったときの連絡方法も決めておきましょう。 たとえば、急ぎの連絡は電話にするなど、普段の仕事に合わせて用意すると安心です。

ICT化を小さく試す4つのステップ

❶ 困っている業務を一つ選ぶ

最初は、毎日の仕事で手間に感じる場面を一つ選びましょう。 「情報共有を改善したい」より、「在庫を確認するたびに電話している」のほうが具体的です。 誰のどんな作業を変えるのか、話し合いやすくなりますよ。

対象を決めるときは、実際に作業している人の話を聞いてみてください。 管理する側には見えていない、確認や入力の手間があるかもしれません。

❷ 今の作業と、減らしたい手間を書き出す

誰が入力して、誰が確認するのかを、今の作業に沿って書き出します。 電話の返事を待つ場所や、同じ情報を打ち直す場所があれば、そこに印をつけましょう。 使っていない記入欄などが見つかれば、この段階で減らせるかもしれませんね。

次に、改善を確かめるための目標を決めます。 仮の例なら、「在庫確認にかかる時間を、1日30分から15分に減らす」といった形です。 実際の作業時間を測って、無理のない目標に調整してください。

時間と一緒に確認件数も記録しておくと、忙しさの違う日を比べやすくなります。 1件あたりにかかった時間も見ておくと、変化をつかみやすくなります。

❸ 必要な機能を絞って、少人数で試す

目標が決まったら、一つのチームや一部の商品に対象を絞って試しましょう。 在庫の確認なら、外出先から見られるか、更新内容が共有されるかが確認点です。 試す期間は、普段の業務が一通り発生する長さを目安にします。

操作手順は、実際の画面を使って短くまとめると伝わりやすいですね。 紙と新しい仕組みを併用する間は、どちらを正式な記録にするかも決めてください。 記録が食い違ったときに、確認する人が迷わずに済みます。

❹ 時間と使った人の声を見て、続け方を決める

試した後は、作業時間の変化と、使った人の感想を確認しましょう。 電話が減っていても、入力する人の作業が増えているかもしれません。 「どこが楽になったか」とあわせて、「前より面倒になったこと」も聞くと、負担を把握しやすくなります。

負担が残る場合は、入力項目を減らしたり、通知の設定を変えたりして調整します。 継続する費用も含めて判断し、効果を確かめられたら、同じような業務へ広げていきましょう。 一度の試行で会社全体に広げるところまで決めなくても大丈夫です。

おわりに

ICT化は、身近な連絡や確認の手間を減らすところから始められます。 日々の作業時間や利用者の声をもとに、負担が減っているかを確かめながら進めましょう。

まずは今日の仕事で、同じ内容を何度も聞いた場面を一つメモしてみてください。 その情報を誰と共有できれば助かるか、考えるところからで大丈夫です。

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